うえにょの本棚

最近読んだ本で「良かったかな・・・」と、思うモノを紹介します。


今年に入って松本清張に随分はまりましたが、やっぱり同じ人の推理モノは読み続けると飽きます。
私が松本清張にひかれたのは戦後からやっと立ち直った時代がある意味すごく魅力的に描かれている所です。
戦後20年も経ってから生まれた私ですが、幼い頃の東京下町の雑踏には清張の描いたエネルギッシュな
(しかしドロドロした)臭いが残っていた様な気がして、そんな懐かしさも手伝ったのかもしれません。
余談ですが、仕事で数回行く事があった台北(台湾)の街には、あのエネルギーを感じる事が出来ました。
夜の台北市街を歩いていて「好きだなこの街」と、直感的に感じたのと、清張の小説に惹かれたのは同じ感覚
だったのかもしれません。

さて、では清張以外で面白かった本を紹介!

みじんこ道楽 坂田 明 講談社 ISBN4-06-208619-0
ジャズサックス奏者でみじんこ飼育で有名な氏がみじんこと出会うまでの経過や観察の作法(?)
果ては高山病と戦いながらネパールの氷河までヒョウガミジンコを探しに行った話まで。
みじんこを通して人生観を語っています。
近所のジャズ喫茶「しおじ」で著者がライブを行った時に購入しました。


笑うカイチュウ 藤田紘一郎 講談社 ISBN4-06-207069-3
「みじんこ道楽」と「パラサイト日本人論(竹内久美子著)」の両方に紹介されていて、以前「寄生虫
館物語(亀谷了著)」を読んで寄生虫には興味を持っていたので早速購入しました。
寄生虫と花粉症・アトピーの関係、考古寄生虫学、ゲテモノ食への警告と氏の寄生虫に対する思い
が熱く感じられます。自分の腹でさなだ虫を実際に飼育している氏だから書けるエッセイです。


東京セブンローズ 井上ひさし 文芸春秋 ISBN4-16-318380-9
旧漢字、旧カナ使いで、読み始めた時は怯みましたが、そんな事は苦労にもならない面白さ です。
前編東京根津で団扇屋を営む主人公が戦中戦後に綴った日記として書かれています。自分に素
直故に時代に翻弄させられる主人公。GHQの日本語ローマ字化を阻止する戦後の女性達。

さすが舞台作家と思わせる笑いと涙の長編小説です。


少年H 上巻・下巻 妹尾河童 講談社文庫 ISBN4-06-264591-2
鳥瞰図の覗いたシリーズで有名な河童氏。こちらは前編総ルビ、子供にも読んで欲しいから との
配慮だそうですが、昔の本はこれが普通だったそうです。小説となっていますが戦前から
戦後の
自叙伝です。戦争を通して妹尾少年が感じた事を素直に書いてくれています。今の
河童氏と
妹尾少年を照らし合わせながら読むと一層面白い本ですが、戦争の無意味さ、悲惨
さも解りやす
く書いてくれています。もっと多くの人が戦争の体験を書き残すべきではないかと
思う一冊でした。


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